国体の精華としての特殊慰安施設協会
何とか風邪からも脱出し、長い文章もO.K.になった。
昨日は、歴史に名高い(?)特殊慰安施設協会を取り上げることまでしてしまった。
要するに、戦中の日本人にとって、敗戦とは「戦時強姦」を意味していた、ということなのであろう。
ここにあるのは、戦勝とは「戦時強姦」をする側にいることを意味し、敗戦が「戦時強姦」をされる側となることとして認識されていたという、戦中の日本人の意識のあり方である。
前提にあるのは、「戦時強姦」を組織的に遂行した皇軍の存在であろう。
昭和12年の支那事変段階での、南京攻略戦における戦時強姦の多発と、その問題性は、陸軍自身によっても認識され、その解決策として採用されたのが、いわゆる「従軍慰安婦」であるというのが通説である。
その後に展開する大東亜戦争の全戦域を通じて、大日本帝國軍隊=皇軍と共に、従軍慰安婦の姿を見ることが出来るはずだ。
昨日は、ML内でのやり取りから、ドイツ軍の慰安所が話題となり、かつて観たドイツ映画のワンシーンを思い出すこととなった。ヘルマ・サンダーズ・ブラームス監督 『ドイツ・青ざめた母』(1980)の中に、ドイツ軍の慰安所のシーンがあったのである。
ただし、ML内のやり取りによれば、ドイツ軍の場合は、「従軍」慰安婦ではなく、現地の女性の採用によるものだったということだ。そこに「強制」があったのかどうかという点には、微妙なところが残りそうな気もするが(そこに、占領-被占領という、非対称な関係性があることは確かだし)、一般的な娼婦と客の関係としても理解可能にも見える。
…と書いていて、テオ・アンゲロプロスの作品『旅芸人の記録』(1975)にも、娼婦を前にしたドイツ軍人の姿があったことを思い出した。ここでの娼婦も、現地のギリシア人であり、「従軍」慰安婦は登場しない。
いずれにしても、戦時強姦発生予防策としての「従軍慰安婦」の制度的な採用は、皇軍の特徴であるということであろう。ここにも、我が国体の精華を見出すべきであろうか?
MLでのやり取りからは、特に従軍慰安婦としての朝鮮人の存在がクローズアップされている。植民地の女性を、従軍慰安婦として「活用」していたことは事実であるし、その採用手続きのすべてが公正なものであったとは思われない。…というのは穏やかな言い方であって、意に反して慰安婦とされた女性は多かっただろう。
巷では、かつてのこの国での公娼制度の存在から、当時の法的システムの中での従軍慰安婦の存在を正当化しようという試みもあるようである。しかし、当時の実際状況を考えれば、公娼制度を支えていたのも、自由意志で娼婦となることを選択した女性ではないだろう。経済的困窮が、女性を売買の対象とさせ、売られた女性が陥るのが娼婦という境遇であったのも歴史的事実である。そのような農村の状況があればこそ、その解決を目指しての、昭和11年2月26日の青年将校の決起もあったのだということは忘れられるべきではない。
かつての日本人は、日本人の女性を売買の対象とし、その売買の結果として女性を娼婦として取り扱うことを否定していなかったのである。従軍慰安婦の背景として、当時の日本における公娼制度の存在を取り上げるとすれば、その実態自体が問題なのであり、従軍慰安婦の存在の正当化になりえるはずがない、と私は思う。
実際には、多くの植民地女性の意思を問うことなく、大量の兵士の性的充足の相手をさせたわけであるのだから、彼女らが性的奴隷であったという評価を否定し去ることは難しいだろう。
…と、我が国体の精華としての従軍慰安婦を位置付けたわけだが、MLのやり取りの中で思い出したのは、かつての日本映画の中にしっかり登場していた従軍慰安婦の姿であった。
検索の結果、動画を発見する。
タイトルは、
48年前(1959年)の日本映画における慰安婦の描写
(監督・脚本:岡本喜八 )
→ http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=191511
となっているのだが、岡本喜八監督の『独立愚連隊』シリーズの一作である。
朝鮮人慰安婦の存在、皇軍と共に移動する従軍慰安婦の姿も、しっかり描かれている。
実際の戦場体験者が、まだ30代という時代の映画である。観客にとっても、映画製作陣にとっても、ここに描かれているのは自らの経験世界なのである。
日常的な記憶の中に、従軍慰安婦の存在もあった時代の映画作品ということになる。
皇軍の存在と不可分な従軍慰安婦という存在。それが戦後日本の娯楽映画の中に、しっかり記録されていたというわけだ。
その背後にあるのが、戦時強姦とも不可分な存在であった皇軍の姿、ということになる。そして、特殊慰安施設協会の背後には皇軍の存在があり、つまるところ、特殊慰安施設協会もまた、我が誇るべき国体の精華ということになるのだろう。
(オリジナルは、投稿日時:2008/10/27 23:34 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/blog_id/83269/user_id/316274)
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