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2017年4月

2017年4月15日 (土)

トランプ、スターリン、プーチン、ブレジネフ、そして聖マティスの肖像

 

 前回は、「ロシア構成主義的ドナルド・トランプ・イメージ」と題して、数あるドナルド・トランプ大統領ネタ画像の中でもソヴィエト・ロシアのプロパガンダ・アート・パロディとして秀逸だと思われるものを紹介した。

 特に、「ロシア構成主義」として知られる、当時の最先端スタイルによる作品(のパロディ)を取り上げたが、それはまさにソヴィエト・ロシアのプロパガンダ・アートが芸術(美術)の前衛であった時代のポスター・デザインである。「革命」は政治の問題であるだけでなく、芸術もまた「革命」を経験していたのだ。

 しかし、そんな時代は長続きすることなく、「社会主義リアリズム」と呼ばれる表現形式が政治的に推奨され、芸術は政治の従属物に成り下がり、芸術上の革命の時代は終焉を迎える。

 

 

 しかし、古典的な表現形式で描かれたスターリンの肖像に代表される「社会主義リアリズム」の絵画もまた、パロディ作家にとっては良い素材となり、例えばスターリンの肖像がトランプの肖像として蘇るのを楽しむことが出来る。

 

 

 

alternative facts - pravda comrade !
  
https://1.bp.blogspot.com/-eDDGOX_e3xY/WLh7kMc0ctI/AAAAAAABLkk/eWeOIWPOLP8D3UEUj-87yJjyalSj7JLGQCLcB/s1600/Trump-Alternative-Facts-Pravda-Comrade.jpg

 

 

 このパロディー作品の下敷きとなっているスターリンの肖像でも、執務机に重ねられた郵便物の下に描かれているのが御用新聞の『プラウダ』であることに気付くであろうが、パロディー作品ではその『プラウダ』の存在が生かされ、笑いの源泉へと転化している。

 

 

   stalin with pravda
   
https://zibbet.s3.amazonaws.com/uploads/photo/file/8734527/gallery_hero_il_fullxfull.409219358_ofmi.jpg

 

 

 「プラウダ」はロシア語で「真実」を意味するが、御用新聞としての『プラウダ』の紙面は「真実」の報道とは遠いものとなっていた。

 その事実が、自身に都合の悪い報道を全て「fake news(嘘ニュース)」と呼び、自身の主張の誤りが明らかとなっても「alternative fact(代替的事実)」と言い張る、ドナルド・トランプ自身とその取り巻きの姿に見事に重なるのである。

 トランプが求めるのは『ニューヨークタイムス』の報道スタイルでもなければ『CNN』の報道でもなく、まさに『プラウダ』の報道スタイルに違いない、と多くの者は考えるであろうところに、このパロディー作品が成立するわけだ。

 

 

 実際、そんなトランプ政権による合衆国の政治は、内政でも外政でも混乱続きである。いまだに特筆すべき成果は見られない。

 

 

 トランプとその取り巻きによる政権運営に混乱の続く中、政権内で内外からの信頼を獲得しているのは、国防長官に就任したジェームス・ノーマン・マティス元海兵隊大将その人であろう。

 

 早速、20世紀の美術をはるかに遡る16世紀の祭壇画を思わせる様式で描かれた、マティス国防長官の肖像画を鑑賞することとしよう。

 

 

saint mattis of quantico
  
http://www.catholic.org/files/images/media/14806999051961_700.jpg

 

 

 右手に手榴弾、左手にナイフを持つ元海兵隊司令官の頭の背後には、金色に輝く中に「M A D D O G」の文字が刻まれている。

 「クアンティコの聖マティス」とされていることが興味を引くかも知れないが、「クアンティコ」は海兵隊基地の存在で知られている土地である。そして、更に画面を見ることで「クアンティコの聖マティス」が「カオス(大混乱)」の「守護聖人」であることにも気付くであろう。マティス国防長官は(少なくとも今のところ)、大混乱の続くトランプ政権内で、平静を保ち続けている数少ない人物の一人(もう一人であろうマクマスター安全保障担当補佐官もまた軍出身者であるが)であると、多くの人に思われているはずだ。まさに大混乱を続ける政権の守護聖人の役割である。

 

 

 

 

 続くのは、画像検索の際に見つけた(2024年のものとされる)プーチンの肖像画である。下敷きとなっているのは、長く政権に居座り続け、ソ連を停滞に導いたブレジネフの肖像である。

 大量の勲章で飾り立てた軍服に身を包んだ傲慢そうな老人。スターリンの肖像以来の重厚なスタイルで描かれた、まさにブレジネフとしてのプーチンだ。

 

 

putin-brezhnev-2024
  
http://www.irishmanabroad.com/wp-content/uploads/2011/10/Putin-Brezhnev.jpg

 

 

 

 最後は、ソヴィエト・ロシアの様式で描かれたトランプ及びプーチンの姿から一転して、米国を代表するプロパガンダ・デザインのパロディとして描かれたプーチンの姿である。

 

 

 

i want ukraine
  
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/6f/16/ec/6f16ec0e0e3417cc9ab0d81ed3170adf.jpg

 

 

 

 プーチンには、アンクルサムの衣装もよく似合うのであった。

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2017/04/15 19:20 → http://www.freeml.com/bl/316274/302483/

 

 

 

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ロシア構成主義的ドナルド・トランプ・イメージ

 

 今回は、いわば「「偉大な指導者」としてのドナルド・トランプ・イメージ」の続きとなる、ネタの源泉としてのドナルド・トランプ大統領をめぐる記事である。

 

 

 

 紹介するのは「soviet propaganda poster trump」とか「russian constructivism trump」といった検索語での画像探索時の発見物だが、ソ連時代のプロパガンダ・ポスターのパロディとして実にに秀逸なものだと感じた。

 

 


Photo Illustration by Cristiana Couceiro.
  
http://media.vanityfair.com/photos/58d974523753ee611fd2475e/master/h_606,c_limit/russian-fake-news-04-17.jpg

 

 

 いわゆる「ロシア構成主義」デザインの典型的構図である。バックには赤地に白が斜め右上に向けて下方から放射状に広がり、中心に大統領トランプとその主席戦略官バノン、その下にロシアのプーチンとその顧問格のスルコフ、そしてホワイトハウスの写真がコラージュされ、加えてメディア記事の文字による画面構成となっている。

 下敷きとなったのが、以下の作品に代表されるロシア構成主義の構図である。

 

 

 Left: Gustav Klutsis – Workers, Everyone must vote in the Election of Soviets! Image via arthistoryarchive.com / Right: Russian Propaganda Poster.Image via posterwire.com
   
http://d2jv9003bew7ag.cloudfront.net/uploads/Left-Gustav-Klutsis-Workers-Everyone-must-vote-in-the-Election-of-Soviets-Image-via-arthistoryarchive.com-Right-Russian-Propaganda-Poster.Image-via-posterwire.com_.jpg

 

 配色、斜めが強調された躍動的な構成、写真によるコラージュ、デザインの一部となった文字。

 左画面にあるグスタフ・クルーツィスの手の平による構成は、パロディ作品ではバノンが掲げる右の手の平の並びとして再現されている。

 パロディ作品に登場するキャラクターの中で、あまり有名ではないであろうプーチン大統領の補佐官ウラジスラフ・ソルコフの画像も参考として添えておこう。

 

 
 Vladislav Surkov - Wikipedia
   
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/03/Vladislav_Surkov_7_May_2013.jpeg/220px-Vladislav_Surkov_7_May_2013.jpeg

 

 

 偉大なドナルド・トランプ大統領と上級顧問のバノンの関係が、画面中央でバスト・ショットで大きく示されるトランプと右下方に小さくはあるが上半身像+掲げる右手が三連化されることで存在感が強調されるバノンの姿として示され、ホワイトハウスの上のプーチンとソルコフの関係に反復されてイメージに刻み込まれる。(少なくともシリア攻撃までは維持された)ロシアとトランプの親密な関係が画面構成の中でも暗示され、それがロシア構成主義デザインのパロディとして示されることで、より強化される。実に秀逸なものだと感心した次第。

 

 

 

 続いて…

 


Trump Poster No. 1: Hate Speech
  
http://68.media.tumblr.com/53bb2c46d456e45aa8d29ac5d6da0c31/tumblr_o5h1h3IVhM1v1fk2co1_1280.jpg

 

 

 このパロディ・デザインから連想させられるのは、ロシア構成主義を代表するアレクサンドル・ロトチェンコのポスターであろう。

 

 
 Alexandr Rodchenko, Poster for a Moscow publisher (1924)
   
http://www.brandandbrand.co.uk/blog/wp-content/uploads/2014/12/constructivist.jpg

 

 ただしこのパロディでは、ロトチェンコの有名な構図を下敷きとしながらも、ソ連時代のスターリニズム的全体主義に重ねて、もう一つの全体主義であるナチス体制の標語と画像を用いることで、トランプの強権的志向への批判が強化されている。

 「HATE!」と叫ぶトランプに重ねられているのはナチスの反ユダヤ主義が煽った民族主義的な「憎悪」であるし、ナチスの有名なスローガンであった「一つの民族、一つの国家、一人の総統(Ein Volk, Ein Reich, Ein Führer)」もほとんどそのまま用いられている(ONE PEOPLE/ONE EMPIRE/ONE LEADER!)。

 

 
 Plakat: "Ein Volk, Ein Reich, Ein Führer.
  
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/564x/0c/24/10/0c241093d8ecf8bb026a449b2b63ff6e.jpg

 

 
 hitlerjugend
  
http://visit-heidelberg.org/wp-content/uploads/imgp/hitlerjugend-frisur-3-8231.jpg

 

 右半分の画面のナチス的スローガンの背景には、ソ連の青年組織のピオニールではなく、ナチスのヒトラー・ユーゲントの画像が引用され、画面左上方の「LONG LIVE FASCISM !」の文字と共に、ドナルド・トランプの言動とファシズム世界の親和性の強調に効果を発揮している(見る側が気付く限りにおいての話だが)。

 

 

 

 

《オマケ》

 トランプ関連画像ではないが、検索中に見つけたソ連プロパガンダ・ポスター・デザインのパロディ作品の中から、お気に入りを2点ほど紹介しておこう。ロシア構成主義を代表するエル・リシツキー作品風のウォッカの広告と、有名なドミトリー・ムーアの志願を募る軍人ポスターをマリオ化したお遊び(残念なことに出典となるリンク先を見失ってしまった)と。

 

  

 we call it vodka
  
https://files1.coloribus.com/preview/x600/files/adsarchive/part_972/9729455/file/stolichnaya-vodka-we-call-it-small-51408.jpg

 

 

  

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2017/04/15 00:45 → http://www.freeml.com/bl/316274/302435/

 

 

 

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2017年4月 9日 (日)

議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ…ったはずだが?

 

 

  米トランプ政権がシリアのアサド政権への攻撃に踏み切ったことに対し、米議会内には容認論が強い一方、事前承認を経ない軍事行動を問題視する意見がある。政権は国際社会だけでなく、国内でも攻撃の合法性やシリア戦略についての説明を求められそうだ。
  共和党の大統領候補指名を争ったルビオ上院議員が「無実の人々に対するさらなる攻撃を防ぐ」と評価するなど、与野党双方からトランプ大統領の決断を支持する声が目立つ。
  ただ、手順については異論があり、民主党のケーン上院議員は7日、「倫理的には正しい」としたうえで、議会の承認がない軍事行動には「法的正当性がない」と指摘。同党のリュー下院議員も、政権の「一方的な決定」は憲法違反にあたると批判した。
     (毎日新聞 2017/04/08 21:00)

 

 

 ドナルド・トランプ大統領によるシリアへのミサイル攻撃に関する米国議会の反応だが、記事は、

 

  与党内でも、マシー下院議員が、トランプ氏が2013年8月にツイッター上で「議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ」と投稿していたことを指摘。ライアン下院議長も、政権が追加攻撃を行う場合は「事前に協議するのがふさわしい」と議会との共同歩調を促した。
  シリア攻撃を巡っては、オバマ前政権も13年に議会承認を求めたが、共和党と民主党リベラル派が反対し、武力介入は土壇場で見送られた経緯がある。

 

このように続く。「与党」である(はずの)共和党のマシ―下院議員からも、

 

  トランプ氏が2013年8月にツイッター上で「議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ」と投稿していた

 

このように、手続き上の問題に止まらず、トランプ氏自身の過去の主張との違い(主張の一貫性の無さ)までもが指摘されてしまっている事実は非常に興味深い。

 

 この問題については、「アメリカ時間の6日夜に急きょ行なわれたシリアの空軍基地への攻撃について、アメリカの世論はおおむね前向きな受け止めを示しています」としながらも、

 

    一方、米軍の運用に大きな権限をもっている連邦議会では、保守強硬派の一部議員などが「事前に行動を承認しておらず大統領の越権行為だ」と批判の声をあげています。
     (TBS系(JNN) 2017/04/08 13:07)

 

このように連邦議会で「保守強硬派の一部議員」の批判があることを取り上げた報道もあった(それが誰であったのかは記されていないのが残念だが)。

 

 

 シリア軍により米国が攻撃されてもいないにもかかわらずシリアに対するミサイル攻撃をすることの国際法上の正当性の問題も、当然のことながら指摘されているが、米国内での手続き上の正当性も、主張の一貫性の無さと共に(「保守強硬派」を含む)米国議会の側から問われてしまっているわけである。

 

 

 トランプ政権内での意思決定に関しては、

 

  シリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛が表面化した。
  米メディアによると、トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたという。攻撃の実現は、バノン氏のホワイトハウス内での影響力低下を示している可能性がありそうだ。

  米誌ニューヨーク・マガジンによると、バノン氏はシリアの化学兵器では米国民が犠牲になっておらず、米国が対抗措置を取るのはトランプ氏が推進する「米国第一」主義に反する、と進言したという。これに対し、クシュナー氏は、子供を含めた痛ましい被害が出ていることを踏まえ、「アサド政権を罰するべきだ」と訴えた。トランプ氏は、クシュナー氏の意見に賛同した。
     (読売新聞 2017/04/08 17:55)

 

このような報道もある。これまで大統領上級顧問・首席戦略官としてトランプ政権を主導してきたバノン氏は、そのイデオロギーに忠実に、

 
  シリアの化学兵器では米国民が犠牲になっておらず、米国が対抗措置を取るのはトランプ氏が推進する「米国第一」主義に反する、と進言した

 

にもかかわらず斥けられただけでなく、

 

  バノン氏は4日、国家安全保障会議(NSC)の閣僚級委員会常任メンバーから外された。さらに今後は「更迭か、役割見直しの可能性がある」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)という。

 

このように、トランプ政権内での主導的地位を失いつつある。

 今回のシリア攻撃は、トランプ政権が掲げた当初の意味での(孤立主義的と形容され得る)バノン流の「米国第一主義」が後退しつつあることを示すものとも言えるが、国際社会への積極的介入を通しての「米国第一」の復活、つまるところブッシュ流の米国への回帰の兆候とも言えそうである。

 

 

  シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、トランプ米大統領はオバマ前政権の「弱腰と不決断」がシリア情勢の悪化を招いたと批判したが、就任前はシリア内戦に「介入すべきではない」と訴えており、メディアから矛盾を指摘されている。
  トランプ氏は2013年9月、ツイッターに「オバマ大統領がシリアを攻撃したがる唯一の理由はメンツを保つため。シリアを攻撃するな」と投稿。オバマ氏は当時、アサド政権の化学兵器使用で「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」としたが、土壇場で軍事介入を見送り、国内外から批判を浴びていた。
  トランプ氏は翌14年にかけてツイッターで何度もシリア内戦への対応に言及し、「米国の問題ではない」などと繰り返した。大統領選出馬表明後のインタビューでも「シリアと『イスラム国』(IS)を戦わせればいい」(CNN)、「米国にはアサドよりも大事な問題がある」(MSNBC)などと発言していた。
  5日のアブドラ・ヨルダン国王との共同記者会見で、報道陣から一貫性のなさを問われたトランプ氏は「私は頭が柔らかい人間。柔軟さが誇りだ」と開き直った。
     (毎日新聞 2017/04/06 11:07)

 

 オバマ大統領のシリア政策(シリアによる化学兵器の使用を問題視したものだ)を「米国の問題ではない」として批判し続けた人物が、シリアによる化学兵器の使用を理由にミサイル攻撃を即座に命令する。今回も、

 

  報道陣から一貫性のなさを問われたトランプ氏は「私は頭が柔らかい人間。柔軟さが誇りだ」と開き直った

 

「一貫性のなさ」は「柔軟さが誇り」との言葉で説明されるのだろうか?

 

  米政府は8日、米軍によるシリア攻撃について説明する書簡をトランプ大統領が議会へ送ったと発表した。
  大統領はこの中で「米国の死活的な国家安全保障・外交政策上の利益のために行動した」と主張。「必要かつ適切なら追加の行動を取る」と述べた。
     (時事通信 2017/04/09 08:51)

 

 しかし、シリア軍の化学兵器使用が事実であったとしても、それが果たして「米国の死活的な国家安全保障上」の問題と言い得るのかどうか?

 そもそものトランプ氏は、

 

  トランプ氏は2013年9月、ツイッターに「オバマ大統領がシリアを攻撃したがる唯一の理由はメンツを保つため。シリアを攻撃するな」と投稿。
  トランプ氏は翌14年にかけてツイッターで何度もシリア内戦への対応に言及し、「米国の問題ではない」などと繰り返した。大統領選出馬表明後のインタビューでも「シリアと『イスラム国』(IS)を戦わせればいい」(CNN)、「米国にはアサドよりも大事な問題がある」(MSNBC)などと発言していた。

 

シリアへのミサイル攻撃は、かつての自身の主張からすれば整合性のない唐突な行動にしか見えない。そこにあるのは「柔軟さ」ではなく、「思い付き」で行動する「ご都合主義」に見える。

 ま、それがトランプ・クオリティーなんだろうが、「支持率が落ちたら戦争」のセオリーには整合的である。

 いずれにせよ、ドナルド・トランプも「支持率が落ちたら戦争」という一般的に信じられている基本に忠実な米国大統領の一人に過ぎなかったことが明らかになった瞬間でもあったが、それが就任後わずか100日にも満たない時点であったことでも、ドナルド・トランプは米国史上に名を残す存在となるであろう(回復するかも知れない支持率がどこまで持つか? 新たな注目点ではある)。

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2017/04/08 22:16 → http://www.freeml.com/bl/316274/301884/

 

 

 

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2017年4月 1日 (土)

2017年4月1日:「フェイクニュース」の果てに

 

 

 4月1日ではあるが、以下に記すのはすべてホントの話である。

 

 

 

  ドナルド・トランプ米大統領の大統領顧問ケリーアン・コンウェイは先週末、「カメラに変わる電子レンジ」があるとトランプを擁護する仰天発言をし、またも世を沸かせた。
  ニュージャージー州のメディア「North Jersey.com」に出演したコンウェイは、レコード紙コラムニストのマイク・ケリーと対談した。オバマ前政権による盗聴は実際にあったのかと聞かれたのに対し「お互いを監視する方法はたくさんある、残念ながら」と答えた。
  続けて、「今週読んだ記事には、電話やテレビなどを使った監視の手段がたくさん出てきた。カメラになる電子レンジもある。つまり、これは現代社会における一つの事実にすぎません」と言った。
     (ニューズウィーク日本版 2017/03/14 16:18)

 

同記事によれば、更に、

 

  コンウェイは月曜の朝、CNNの情報番組「New Day」に出演、「カメラに変わる電子レンジ」について説明した。司会のクリス・クオモのインタビューに、コンウェイはこう言った。「私はインスペクター・ガジェット(ガジェット警部)ではない。スパイが電子レンジを使うなんて信じないが、証拠を集めるのは私の仕事ではない。それは捜査官の仕事だ。」

 

記事を書いたルーシー・ウェストコット曰く、

 

  自分のボスが盗聴されたと主張しているのだから、その証拠を出すのはコンウェイの仕事だと思うのだが。

 

私もルーシーに同意する。

 

 今やオルトファクトの女王となったコンウェイの言う「今週読んだ記事には、電話やテレビなどを使った監視の手段がたくさん出てきた」という元ネタは(多分)、

 

  内部告発サイト「ウィキリークス」は7日、米中央情報局(CIA)によるハッキング技術に関する内部資料の公開を始めたと発表した。
  文書によるとCIAは、基本ソフトのウィンドウズやアンドロイド、iOS、OSX、リナックスを使うコンピューターやルーターに侵入するマルウェア(悪意のあるソフト)を武器化している。
  マルウェアは内部作成のものもあるが、韓国・サムスン製テレビのハッキングに使うマルウェアについては、英国の英情報局保安部(MI5)の手助けも得ていたという。

  2014年6月付の文書によると、CIAは、サムスン製スマートテレビ「F8000」シリーズに侵入する技術の開発を「ウィーピング・エンジェル」というコードネームの下で進めた。
  ハッキングされたテレビは、電源がオフになっているように見えるものの、室内の音を録音しており、使用者が再度テレビの電源を入れWi-Fiがつながった際に、インターネットを通じて録音をCIAのコンピューターに送る。
     (BBC News 2017/03/08 12:56)

 

コンウェイ女王様も(大統領本人同様に)他人の話をよく聞いていないタイプなのであろう。CIAの新たな「盗聴」テクニックの技術的側面を理解することなく、「なんかこんな話」程度の理解のまま吹聴したらしい(ま、確かにカメラが仕込まれた電子レンジは古典的スパイ道具のイメージではあるが、コンウェイ女王様のしているのは―文脈からして―古典的スパイ道具の話ではないだろう)。現在ここに記しているのは4月1日付けのブログ記事ではあるが、ネタ元の記事の日付が示すように、ホントの話である。

 

 

 お次の記事もまた、エイプリルフールネタではない。

 

  一部の国では、自分の名前や好きな言葉を車のナンバープレートにすることができる。カナダもそのひとつだが、自分の名字をナンバープレートにしていた男性が、名前に問題がありすぎると使用を禁止されてしまった。
  ノバスコシア州に住むローン・グラバー(Grabher)さんは、名字をナンバープレートにして25年前から使っていた。しかし更新を申請したところ、昨年12月にいきなり却下の手紙を州運輸局から受け取った。
  同州運輸局は、カナダ放送協会(CBC)の取材に対して、グラブハーさんのナンバープレートが「女性への暴力」を象徴するものと誤解されかねないからだと説明した。
  グラバーさんによると、自分の姓はドイツ系で、父親の65歳の誕生日に名前入りのナンバープレートを購入した。父親が亡くなった後、自分でプレートを使い始めたという。
  「GRABHER」は「GRAB HER」、つまり「彼女をつかめ」、女性の体を無理やりつかめという意味にも読める。
     (BBC News 2017/03/28 16:38)

 

記事の日付の通り、エイプリルフールのホンモノのフェイクニュースではなく、実際にグラバー氏の身の上に起きた話なのだ。

 記事には、

 

  グラバーさんは、州当局がいきなりナンバープレートを使用禁止にしたのは、ドナルド・トランプ米大統領のわいせつ発言のせいだと考えている。
  昨年の米大統領選の終盤で、トランプ氏がかつてわいせつな表現を使って女性器を「つかむ」と発言したビデオが浮上。女性の権利団体をはじめ大勢が強く非難し、トランプ氏は謝罪した。

 

このような説明も付されている(起源となるのは以下のように報道されていたエピソードである)。

 

  トランプ氏は女性蔑視発言でたびたび物議を醸し、過去に「女はやらせる。何だってできる。プッシー(女性器を指す俗語)をまさぐってな」と語っていたことも明らかになっている。
     (AFP=時事 2017/01/18 09:36)

 

ドナルド・トランプの実際の発言は「grab them by the pussy」であったらしい(ネット上では「grab her right in the pussy」あるいは「grab her by pussy」との表現でも流通している)。

 この機会なのでネット上の関連画像を紹介しておこう。

 そんなトランプ閣下を怖がって見つからないようにしているのは、こんなプッシー(子猫)ちゃんである。

 

Poor Little Kitty Kat
  
https://onmyfrontporch.files.wordpress.com/2016/10/cat-hiding-from-trump.jpg?w=552&h=414&crop=1

 

 

 

 

 そしてついに米国大統領の周辺から「alternative facts」が量産され続けられる現実は、エイプリールフールの伝統を危機に陥れるまでに至ったのである。

 

  スウェーデンとノルウェーの新聞が3月31日、「偽ニュース」として拡散してしまう恐れを考慮して、伝統になっている紙面でのエープリルフールのジョークを今年は自粛すると発表した。
  スウェーデンの日刊紙スモーランドポステン(Smalandsposten)のマグナス・カールソン(Magnus Karlsson)編集長は同紙のウェブサイトで、ネットで拡散する恐れがある間違った記事を掲載するメディアとして同紙のブランドが知られるようになることは望まないと語り、「本紙は本物のニュースを扱う。4月1日といえども」と述べた。
  「偽ニュース」現象は2016年の米大統領選のさなかに発生し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が大統領選当選後初の記者会見でCNNテレビの記者に対し「君たちは偽ニュースだ!」と大声で言い放ったことでさらに勢いづいた。
     (AFP=時事 2017/04/01 10:55)

 

 この「AFP=時事」の記事は、多分、フェイクニュースではない。

 

 

 

 

《オマケ》

 

  共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が1日付紙面で、1989年以来、28年ぶりに元号表記を復活させた。天皇制と関係が深い元号を国民に強制すべきではないとの立場だったが、「西暦を平成に換算するのが煩わしい」という読者の声が増え、柔軟路線に転じた。
     (毎日新聞 2017/04/01 10:29)

 
これも、多分、フェイクニュースではない。記事の後半では、

 

  長く党を支えてきた赤旗購読者や党員の減少に悩む共産党は、保守層への支持拡大をうかがっている。元号の使用にはそうした思惑もあるようだ。
  党によると、赤旗の発行部数は日刊紙と日曜版を合わせて約113万部。党関係者は1日、「元号の慣習的な使用には反対しない。読者の要望に応えた」と説明した。

 

このように記されていた。4月1日のタイミングでの方針転換ではあるが、エイプリルフールのネタではなさそうだ。

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2017/04/01 20:40 → http://www.freeml.com/bl/316274/301309/

 

 

 

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