« 日本の「記憶遺産」 | トップページ | 越境の方法 (朝鮮大学校へ) »

2015年11月10日 (火)

橋下徹氏の有言実行

 

 

 〈オーケーしたことは反故にしていくし、責任転嫁も徹底的にする。「今回の問題でまとまらないのは、まあ、結局はおたくのせいなんだよ」ということをあらゆる手段を講じながら見せていく〉

  自分の発言の不当性や矛盾を相手に気づかれたときは、

 〈相手方に無益で感情的な論争をわざとふっかけるのだ。(中略)さんざん話し合いを荒らしまくっておいて、最後の決めゼリフにもっていく。

 「こんな無益な議論はもうやめましょうよ。こんなことやってても先に進みませんから」自分が悪いのに、こう言って終わらせてしまうのだ〉

     (橋下徹 『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』 日本文芸社 2003)

 

 

 

 以上、 

  1冊の本が永田町関係者の間で話題になっている。橋下氏が、2003年に出版した『最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術』だ。すでに絶版となっており、アマゾンでは3000円を超える高値で取引されている。〈詭弁を弄してでも〉相手に黒を白と言わせる「実践的」な交渉術を紹介するこの本によれば、橋下氏は…

…との週刊誌記事(週刊文春 11月5日(木)18時6分配信)の続きにある橋下氏の著書からの引用部分から引用したものだが、まったくその通りそのまま、これまでに橋下徹氏がやってきたことであり、今も現在進行形で実行中の橋下氏の「手の内」なのである。

 

 今回、記事として記録しておこうと思ったのも、もちろん、橋下氏に感心した…というのとは違う。まったくもって、しょーもない論法(著書では当人もそれを自慢している)ではあるが、こんなもんでも世間では通用してきたという現実の方にあらためて感心したような次第である。もっとも、そろそろ限界…という気もしないでもない。

 橋下氏はこの手法を政治の場でも用いて、ひたすら自身の(あるいは「維新」の)敵を作ることに熱中し、味方を作ること(増やすこと)の政治的重要性には関心を持つことがなかったように見える(これが法廷であれば、その都度の訴訟での異なる相手との一対一の対決であり、勝負もその場だけでの話で終わる)。

 しかし、常に「絶対な敵」との闘争として自身の政治活動を演出してしまえば(橋下氏の論法は、議論を政策上の適切性の問題としてではなく、相手への人格攻撃として展開させる―相手は徹底的にダメな人間と決めつけられ貶められる―のを特徴とするので、論争の相手は政策上の相違という次元での「相対的な敵」ではなくなってしまう)、その場だけの話では終わらない政治という場において、自身の(そして「維新」にとっての)「絶対的な敵」を増やすことにばかり役立つだけでなく、橋下氏自身が自慢する「詭弁を弄してでも相手に黒を白と言わせる実践的な交渉術」のしょーもなさに対する嫌悪感を有権者の多くの心中に芽生えさせること(そのえげつなさに気付く機会を有権者の多くに与えてしまうこと)にも大いに役立つ結果となってしまうだろう。

 しかし、自ら率先して、「大阪都構想」の必要性は理解するが橋下氏を支持することへの嫌悪感を持つ有権者を育成し続けてしまっている現実(橋下氏が本気で大阪都構想の実現を考えているならば決してプラスになることはない現実である)に、橋下氏が気付くことはなさそうである。

 

 

 

〔追記〕
 結局、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙では、橋下氏の率いる「おおさか維新の会」が勝利を収めた。
 大阪では今でも橋下氏の「最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術」が通用しているということを示しているのであろうか?
 大阪の人間ではないので、そこはよくわからない。
 「大阪都構想」については、強度な中央主権国家としての現状からの脱却の手法として、(つまり単に二重行政解消の手段としてではなく)地方分権型システムへの移行構想として理解する限り、否定すべきものと私は考えていないので、今回の選挙結果もわからぬではない。ただ、「大阪都構想」の推進を、「最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術」の著者やその追随者に任せる気にもなれないのも正直なところである(もちろん、私は東京都民であり、大阪人ではないので他人事としての話であるが)。
 それに選挙の構図は、自民・共産連合vsおおさか維新なのであった。私にはこの二択は、あまりに不条理なものだと言うしかない。アンチ自民でアンチ共産党でアンチ「最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術」である私が(しかも「大阪都構想」の実現を地方分権型システムへの移行の第一歩と考える私が、である)もし大阪人であったなら、いったいどのような選択が可能であったのか? (今回ばかりは東京人でよかった、と心から思う)
          (2015年11月25日記)

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2015/11/06 18:10 → http://www.freeml.com/bl/316274/259617/

 

 

 

|

« 日本の「記憶遺産」 | トップページ | 越境の方法 (朝鮮大学校へ) »

ウヨク、サヨク、そしてリベラル」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1135955/62450679

この記事へのトラックバック一覧です: 橋下徹氏の有言実行:

« 日本の「記憶遺産」 | トップページ | 越境の方法 (朝鮮大学校へ) »