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2013年10月19日 (土)

兵站勤務ノ困難(笑)

 

 以前に古書店で購入した『兵站勤務ノ研究』(偕行社 昭和7年)を拾い読みしていて大笑い、というのは思いもかけない展開であったが、これもまた読書の楽しみであろうか。

 

 表紙には表題の他に「日本将校ノ外閲覧ヲ禁ス」と印刷されており、著者名は扉ページに佐々木輜重兵大佐とのみ記されている。内容的には、帝國陸軍将校による帝國陸軍将校向けの「兵站勤務」の参考書的な一冊であり、全編文語体カタカナ表記の実にお堅いとしか言いようのない一冊である。

 構成としては、本編が、

  想定
  第一 兵站設定要領
  第二 兵站線
  第三 軍ノ後方ニ何本ノ兵站線ヲ要スルヤ
   其一 給養兵額ノ算定
   其二 所要輸送力ノ算定
   其三 運行表ノ調整
   其四 軍ノ前進ニ伴フ運行表
  …

…という感じで、実際の作戦を想定したシミュレーション。それが本書の前半(~68ページ)を構成し、後半に「附録」(兵站参考)として、日清・日露戦争時の実際の事例が多数収録されている(~147ページ)。

 

 

佐々木輜重兵大佐 『兵站勤務ノ研究』 偕行社 昭和7年

 (『兵站勤務ノ研究』 表紙)

 

  佐々木輜重兵大佐 『兵站勤務ノ研究』 偕行社 昭和7年 奥付

   (『兵站勤務ノ研究』 奥付)

 

    佐々木輜重兵大佐 『兵站勤務ノ研究』 偕行社 昭和7年 扉

     (『兵站勤務ノ研究』 扉頁)

 

 

 その文語体カタカナ表記のお堅い一冊に、以下のような日清戦争時のエピソードが記されていたのだ。

 

 

其兵站司令官ハ幾ラ言フテモ長イ電報ヲ打ツ癖カ止マナカツタ偶々小黒山ニ兵站司令部ヲ移ス爲ニ途中義州ノ兵站監部ニ立寄ラレタ、予ハ午餐ヲ饗シ其席上ニ於テ兵站勤務ノ爲ニ餘計ニ電報ヲ用ユルトキハ作戰上ノ通信ヲ遅カラシムル大害アルカラ、貴官ニ毎度御注意シタル如ク電文ハ極メテ簡單ニセラレタシトシテ態々依頼シタ然ルニ其夜九時過同官カラ電報ガ来タ副官ガ怒リ乍ラ之ヲ讀ムノヲ聞クト「小官義兵站部員(人五人、馬一頭、人夫六人)ヲ率ヒ本日午後五時四十二分當小黒山ヘ安著致候間此段御届申上候」ト云フ馬鹿氣タ電報テアルカラ「本日アレ程八釜敷云フタニ何故コンナ冗長ナ電信ヲ掛ケルカ」ト僕ノ名前テ直ク電報シ給ヘト白井二郎副官ニ吩附ケタ、翌日ニナツタラ過クト電信カ届イタ、「昨日参謀長殿ヨリ長文ノ電報ヲ掛ケルコトニ關シ懇々御説明アリシニ拘ラス電文長キニ失シ候段重々恐レ入リ候也」モー打遣ツテ置ケ迚モ駄目タカラトテ爾後何モ云ハナカツタ、兵站司令官ノ取扱難キコト概ネ此類テアツタ
     佐々木輜重兵大佐 『兵站勤務ノ研究』 偕行社 昭和7年  146ページ  「兵站参考第二十二 日清戦争ニ於ケル第一軍ノ兵站」から「兵站勤務ノ困難」の項の一部

 

 

 

 まぁ、現代を生きる我々も、この手の上司・同僚・部下・取引先には恵まれており、まったくもって他人事ではないのである。

 もっとも、あくまでも、「日清戦争ニ於ケル第一軍」の某兵站司令官の「幾ラ言フテモ長イ電報ヲ打ツ癖カ止マナカツタ」件に関しては、「日本将校ノ外閲覧ヲ禁ス」の話ではあるのだが…

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2013/10/16 21:50 → http://www.freeml.com/bl/316274/208803/

 

 

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