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2009年9月12日 (土)

9月11日 世界は、より安全になったのか?

 

 全体主義と陰謀論。

 どちらも私の嫌いなものだ。

 

 

 

 あの「9 . 11」がブッシュ一味の陰謀であった、という話があることは知っているが、アルカイダによるブッシュ政権(というより米国)への敵対的行為であったと考えても、事実関係に矛盾は生じない。

 ブッシュ政権による陰謀であったという解釈で、事件全体(と、その後の展開)の理解が容易になるとも思えない。

 まぁ、陰謀論の内容を検証しての話ではないので、私に言えるのはそこまでだ。

 

 

 大日本帝國海軍による真珠湾攻撃の成功がルーズベルトの罠だった、と考えることは出来るが、対日宣戦布告とそれに連動しての対独宣戦布告をするためだけに、太平洋艦隊の主力を犠牲にする必要はないだろう。真珠湾で連合艦隊を迎え撃ち、日本海軍の主力を撃滅した上で対日戦に臨む方が合理的である。

…というのが私の判断であり、ルーズベルト陰謀説に与する気にならない理由である。

 

 

 

 アフガン戦争にしても、タリバンによるビンラディン引渡しの可能性は存在したわけだし、戦争は必然ではなかったはずだ。ビンラディンの身柄引渡しが実現していれば、戦争に至ることはなかったのである。

 戦争という帰結は、「9 . 11」から確定的に導き出されるものではなく、あの被害をビンラディン引渡しで埋め合わせても、ブッシュ政権の利益にはならないだろう。陰謀論の描く「ブッシュの利益」は、事後の現実の展開からの解釈としては成立するのかも知れないが、すべての展開が事前のシナリオによるものと考えるには無理があるようにしか思えないのである。

 

 

 対イラク戦争を導き出したのは、アフガンにおける予想を超えた米軍の勝利であろう。対アフガン戦争(現実には対タリバン戦争である)は、いわゆる米軍の「軍事における革命 (RMA; Revolution in Military Affairs)」の成功例として語られることになったが、確かにそのような側面を無視は出来ないにしても、北部同盟として地上戦を現実に遂行した反タリバン勢力の存在なしには、あそこまで迅速な勝利の確保はなかったはずである。

 ラムズフェルドに、そのことを理解する冷静さがあれば、対イラク戦争でのあそこまでの失態はなかったであろう。

 

 

 

 そもそも、アフガンにおけるタリバン支配がなぜ生み出されたのか?

 ソ連によるアフガン侵攻に対し、抵抗したアフガン勢力を支援したのは米国であった。アフガンからのソ連の撤退と、ソ連邦自体の崩壊後の世界において、国際社会(そして米国)は、戦争で荒廃したアフガニスタン国家の復興という課題を放置し、結果として生み出されたのがタリバンによる統治だったのである。そして、ビンラディンは、対ソ抵抗時のイスラム戦士のいわば代表としてタリバンに遇されていたわけだ。

 その歴史的過程を一瞥すれば、アフガン戦争後の最大の課題は、アフガニスタンの国家としての復興の成功であったことを理解するのは容易(なはず)である。

 

 アフガン復興の成功こそは、世界をより安全にする鍵であったはずだ。

 しかし、なぜか、ブッシュ政権には、アフガニスタンの復興支援への関心はなかったようである。

 

 アフガンでの(見かけの)軍事的成功による、国際社会での米国の発言力の強化という実績を前に、米軍の「軍事における革命 (RMA; Revolution in Military Affairs)」の成功の再演による国際社会における絶対的発言権の確保こそが、対イラク戦争の目的であったのだと、私は考える。

 対タリバン戦争という、軍事的には劣弱な勢力を相手にした戦争の成功に続き、湾岸戦争で装備の多くを喪失し、その後の新兵器への更新のない、劣弱になったイラク軍との戦争における勝利は自明のことであり、ブッシュ政権はその機会を捉えたわけだ。

 それにより、国際社会における米国の発言力の絶対的優位が獲得出来るはずだったのである。ブッシュは、米国大統領として、歴史的に称賛されるべき実績が残せたはずなのである。もちろん、ブッシュ一味には戦後のイラクにおける利権からの利益が保証されるというオマケ付きで。

 

 

 

 確かに、米軍は戦闘には勝利したわけだが、戦後統治には失敗し、結果として、ブッシュは史上最低の大統領という評価を得ることになったわけだ。

 第二次世界大戦後の日本占領の経験が、イラクの戦後統治のモデルとして喧伝されていたが、日本占領の成功は、天皇の地位の保証と戦前からの国家行政組織の温存というファクターによる部分が大きく、すべての国家組織を雲散霧消させてのイラクの占領は、まったくの別の事態だったのである。

 困難なのは、戦闘における勝利の獲得ではなく、占領統治の成功であることは、中国大陸における大日本帝国の軍隊が十分に味わったものである。同じ過ちを、ブッシュの軍隊は繰り返した(繰り返す羽目に陥らされた)わけだ。

 皇軍の失敗は、政治を理解しない軍人によるものであったが、米軍の(そして米国民が味わった)悲劇は、軍事の困難を理解しない政治家ラムズフェルド(あくまでも彼は文民である)がもたらしたものであった。

 

 

 

 

 

 この8年の歴史をふり返った時に、私に見えるのはそのような現実であり、そこに「陰謀」というファクターを加えなければ理解出来ない事態は存在しないのである。

 

 

 

 もちろん、「陰謀」が現実のものであったのだとすれば、ブッシュの愚かさは倍化されることになる。

 ブッシュは、結果として何の利益も得ていないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時 : 2009/09/11 22:10 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/115821

 

 

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