« 老眼と自己決定 (24) 脳死を生きる 17 | トップページ | 「無差別爆撃」の転回点 (1) »

2009年7月21日 (火)

「文明賛歌」と「たぬき汁」

 

 まずは小田急線の「成城学園前」駅に向かう、というのが本日のスタート(まぁ、午前中はウダウダしていたので、正午過ぎての「スタート」ではあったが)。

 世田谷美術館分室清川泰次記念ギャラリーで開催中の展覧会「文明賛歌 清川泰次が写したマシーン・エイジ」を観るのが目的。

 

 娘と成城学園前の駅に着いたのは既に午後2時近い時間。まずは昼食をということで、途中のケーキ屋さんらしき店に立ち寄る。キッシュにクロックムッシュで、とりあえずのお昼ごはん。ギャラリーは、そのちょっと先の路地を入って行った所にあった。

 清川氏がご自身の住居兼アトリエとして使用していた建物の内部に、区民ギャラリーと清川氏の作品展示室が作られている。

 

 

 

 

 今回の展示は、案内の文章に、

 輝かしい未来が機械文明と共にあると信じられた時代へ捧げられた、青年からの賛歌

とある通りの、1930年代日本の鉄橋や機関車や街並みの写真で構成されている。学生時代の清川氏が趣味として撮影したものが中心となっている。

 つまりアマチュア写真ということになるのだろうが、それが、まさに時代の写真なのだ。マーガレット・バーク・ホワイトだったりロドチェンコだったりの作品を思い浮かべて欲しい。まさにあの世界が、1919年生まれの慶応ボーイにより残されているのである。

 もっとも、その輝かしい世界は、1940年代の戦争により、日本では灰燼に帰するわけだ。1945年に撮影されたとおぼしき焼けた街並みと駅舎の写真が、その後の日本が辿った歴史を物語っている(後で受付の方に確認したところでは、撮影データが不明で、残念ながらどこの駅なのかはわからない、ということであった)。

 

 展示法が面白いというか見事だった。10枚くらいずつの写真を、当時のグラフ雑誌の誌面のようにレイアウトして、壁面にピン止めしているのだ。90センチ×120センチくらいで一つの画面としたものが、8(あるいは7)画面。ピン止めだけという安価な方法でありながら、レイアウトの構成で、空間の緊張感が作り出されている。

 

 

 

 

 
 

 3時過ぎにギャラリーを辞して、駅の反対側にある母の実家に向かう。10数年ぶりのはずだ。娘はまだ訪れたことがない。

 今回は訪問が目的なのではなく、娘の祖母が若い日々を過ごした家の所在を覚えてもらおうと思ったからだ。

 別に親戚同士、仲が悪いというわけじゃぁない。室内の片付けという作業をしていないに違いないことを承知しているので、突然の訪問は遠慮するのである。

 道を間違えて、20分もかからないはずの道のりに、小1時間もかけてしまったが、暑さがそれほどひどくもなかったので助かった。

 到着後は、玄関先の母の旧姓が書かれているポストの前で娘の姿を撮影。まぁ、夏の街を1時間近く歩かされた後なので、表情がひどい。結果として20分ほどかけての撮影ということになる。今後は演技力を身に着けて欲しい(と注文をつける身勝手な父)。

 

 とりあえずこれで、母(娘にっとっては祖母)の住んでいた家も見たし(といっても建物は改築されていたけど)、ということで駅へと向かう(それが4時半過ぎ)。

 しかし、祖父母(娘にとっては曽祖父母)が存命だった頃とはまったく違う街並みとなってしまっている。相続税の関係だろうが、複雑な思いがする。バカ息子が親の相続財産の広い屋敷で安楽な生活をするというのも実に問題だと思うのだが、相続税対策の結果としてゆとりある街並みが壊れていくというのも、なんとも文化として貧困なものだと思う。

 

 駅近くなって、「キヌタ文庫」という古書店を発見。以前にも一度訪れ、収穫を抱えて帰った記憶がある。娘も、喜んで立ち寄りましょうモード。

 購入本は、

 佐々木輜重兵大佐 『兵站勤務の研究』 偕行社 昭和7(1932)年  2000円

 佐藤垢石 『随筆 たぬき汁』 墨水書房 昭和17(1942)年  700円

 カール・ヤスペルス 著 森 昭 訳 『独逸的精神 マクス・ウェーバー』 弘文堂 昭和17(1942)年  200円

 総合インド研究室 編 『印度の民族運動』 総合インド研究室 昭和18(1943)年  500円

 木村喜久弥 『ネコ その歴史・習性・人間との関係』 法政大学出版局 昭和33(1958)年  400円

 高群逸枝 『日本婚姻史』 至文堂 昭和38(1963)年 200円

 細川護貞 『細川日記 上下』 中公文庫 1979年(ただし1991年の3版)  480円

 藤岡明義 『敗残の記 玉砕地ホロ島の記録』 中公文庫 1991年 300円

 エマニュエル・ウォーラーステイン 『アフター・リベラリズム』 藤原書店 1997年  1300円

 『MUSICAL INSTRUMENTS OF THE WORLD』 PADDINGTON PRESS LTD 1976年  1800円

 『中国楽器図誌』 (中国の書籍で、出版社名が簡体字なので表示不能) 1987年  800円

 

 

 『随筆 たぬき汁』は、かつてネット上から引用した文章の原本(→ http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/91911/)。こんなところでめぐり合おうとは!!

 『兵站勤務の研究』の表紙には、「日本将校ノ外閲覧ヲ禁ス」と書いてある。

 他に娘の欲しがった文庫本を合わせて9800円の散財。

 娘は、昨日は一人で近所の大型古書店(例のチェーン)を2つめぐったらしいが、品揃えの違いに大喜びであった。これぞ正しい古本屋の姿であろう(値段に関しても、ウォーラーステインなんかチェーン店だと定価の半額というパターンで2400円のはずだ)。

 

 駅近くのコーヒーショップで一服。娘の母(仕事である)と連絡を取り、地元の駅で合流することに決定。

 7時半近くに地元駅到着。駅上の書店で合流。ここでまた余計な本を買ってしまった。

 『現代思想 7 (特集 人間/動物の分割線)』 青土社 2009 
 田中克彦 『ノモンハン戦争  モンゴルと満州国』 岩波新書 2009

 そんな荷物を増やして(家族それぞれに、だ)、階上のレストラン街で食事。自宅に帰り着いたのは9時近く。

 
 
 

 暑い中、充実した一日だった、ように思う。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

(オリジナルは、投稿日時 2009/07/20 21:30 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/110606

 

 

|

« 老眼と自己決定 (24) 脳死を生きる 17 | トップページ | 「無差別爆撃」の転回点 (1) »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

本を買う」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1135955/30630341

この記事へのトラックバック一覧です: 「文明賛歌」と「たぬき汁」:

« 老眼と自己決定 (24) 脳死を生きる 17 | トップページ | 「無差別爆撃」の転回点 (1) »