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2009年2月 4日 (水)

続々々々々・老眼と自己決定

 

 人の身の上に起る死は、誰によって決定されるべきものなのか?

 
 

…という問いを重ねて、ついにタイトルに「続々々々々」と「々」が4つも並ぶところまで来てしまった。

 しかし、まだ考えておくべきことはある。

 
 

 自殺、あるいは安楽死の実行を求めることに、「権利」という語を用いることの妥当性について、昨日は考えた。

 自らの意思で、自らの命を断つこと。自らの手で実行出来れば、それは自殺であるし、他者の手助け無しに実行し得ないのが安楽死である。

 そこに「権利」という語を用いることに関しての違和感と、その根底にあるであろう論理について、昨日は論じてみたわけだ。

 
 

 自殺も安楽死も、自らに対する殺人という意味を帯びてしまう行為であることを否定出来ないが、しかし、他者に対する殺人行為とは大きく異なる側面もある。殺人の対象となる他者は、その行為の被害者であり、実行者は加害者である。自殺の場合は、自らの意思に基づく自らに対する殺人行為であり、そこに被害と加害という関係性は生じ得ない。安楽死の場合も、その実行役としての他者が加害者として、安楽死の実行を希望した当人からみなされることはない。

 殺人と呼ぶことの出来る行為がそこに存在することは確かであるが、しかし、その場所には、一般的な意味において、被害者も加害者も存在しないのである。

 まずそのことを確認しておきたい。

 

 

 さて、その上で、自殺あるいは安楽死の「権利」についての考察を思い出してみよう。「権利」という語を使用して、もう一度問題を見つめておこうと思う。

 

 

 自らの意思で死を選択ようとする人物に対し、その死を禁ずる「権利」を持つ者は存在するのであろうか?

 自ら選択する死は、当人の自由な意思による選択として、尊重されるべきものではないのだろうか?

…という問いが生まれて来てしまうのである。

 
 

 苦痛でしかないと当人には思われる人生の継続を望まぬという、当人による決断を前にして、その決断を禁じ、あるいは阻止する権利は存在するのだろうか?

 
 
 

 一昨日の日記で、その夜の『クローズアップ現代』の話題を取り上げた。

 将来的な安楽死の実行(番組中では「安楽死」という語の使用は慎重に避けられていたように思うが)を希望するALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の男性である照川氏の意思に関し、

 

  照川氏の選択に対し、言葉はない。

 

  もう一度繰り返すが、照川氏の選択自体を非難する理由は、私にはない。

 

と、私は書いた。

 その背後には、先に示した問題があるのだ。自由意志による当人の選択に対し、当人自身による当人自身の人生に関する選択に対し、他人であるに過ぎない私が介入する権利などないだろう。

 
 

 しかし、現実問題として、身近な人間(多分、身近な人物でなくとも)が自殺を志そうとする場に立ち会ってしまったら、私には決してその背中を押すことは出来ないようにも思う。

 あなたが自らの意思で死ぬことは、あなたの自由に属するのかも知れないし、それを阻止する権利は私にはないのかも知れない。しかし、それならば、あなたの死を望まぬ者の存在を無視して自らの死を選択することは、決してあなたの権利ではないことの自覚を求めることも私の自由に属する事柄であろうし、あなたの自殺を阻止するのもまた私の自由に属する行為であろう。

…ということを考えてしまったりもする。

 
 
 
 
 

 人の身の上に起る死は、誰によって決定されるべきものなのか?

 
 
 
 
 

(オリジナルは、投稿日時:2009/02/04 20:11→ http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/94020

 

 

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