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2009年2月11日 (水)

昭和四年文部省檢定濟『家事新教科書』 (1)

 

   第五章 嗜好品

    第一節 嗜好品の意義・種類

一、意義 嗜好品は、(1)神經を刺戟し、(2)心身の働きを盛にするものである。

二、種類 普通のものは、(1)茶・コーヒー・ココア・酒類等の飲料、(2)山葵・生薑・山椒・胡椒・芥子・蕃椒等の香辛料及び、(3)煙草等である。

    第二節 嗜好品の性質

一、茶 緑茶・紅茶・烏龍茶等があり…

 
 

…と、昨日購入の、昭和四年文部省檢定濟『家事新教科書』の「嗜好品」の項は始まっている。

 文中それぞれのルビは、

 …山葵(ワサビ)・生薑(シヤウガ)・山椒(サンセウ)・胡椒(コセウ)・芥子(カラシ)・蕃椒(タウガラシ)等の香辛料(カウシンレウ)及び…

といった具合だ。

 毎度のことながら、舊字體の文章を相手にするのには、労力が要求される。「IMEパッド」様のご厄介になりつつ、注意力と根気の勝負となる。老眼人間には辛い。

ので、以下は、漢字の旧字体への変換をなしで済ませてしまうことにする。

 で、「嗜好品」についてのお勉強を続けると、

 
 

三、酒類 醸造酒・蒸留酒・混成酒の別がある、いづれも主成分はエチルアルコールで、その含量は酒の種類によって左の如く異なる。

 (酒名 エチルアルコール の順で)

ビール 4・5  葡萄酒 8・5  清酒 17・5  ウイスキー 39・6  焼酎 39・5  ブランデー 48・6

酒類は、(1)適量を飲めば、精神を興奮させ、血行を盛にし、消化を進める効はあるが、常用者は次第にその分量を増し易く、(2)過量を飲めば、胃腸と脳を害する、且その害は独り現在の我が身のみにとどまらず、子孫にも及ぼすことがある、而してこれ等の害は、エチルアルコール量の多い酒ほど甚だしい、故に飲酒の習慣をつけぬがよい、我が国では、未成年者には法律を以て飲用を禁じてゐる。   

四、山葵・生薑・山椒等 (1)少量を用ひれば、消化器を刺激し、食欲を進めるが、(2)多量を用ひれば、逆上をまねき、胃を害する。

五、煙草 刻煙草・紙巻煙草、葉巻煙草がある、いづれも、主成分はニコチンである、喫煙の際その大部分は分解するが、微量は煙と共に体内に入る。常用者は、(1)適度に用ひれば、神経を興奮し、心身の疲れをいやす効あるも、(2)過度に用ひれば、咽喉及び胃を害し、脳に作用して、記憶力・推理力を減ずる、故に喫煙の習慣をつけぬがよい、我が国では未成年者には法律を以て喫煙を禁じてゐる。

六、清涼飲料水 ラムネ・サイダー・平野水等は、炭酸ガスを含める清涼飲料で、蜜柑水・薄荷水・葡萄水等は炭酸ガスを含まぬ清涼飲料である。これ等は、(1)適量を飲めば、渇をいやし、清涼の感をあたへ、食欲を進める効はあるが、(2)妄に用ひれば胃腸を害する。

清涼飲料は、濁れるものは古くして有害であるから、用ひるときに壜のままこれを振って日光にすかし、透明なるものを選ぶがよい。

 
 
 

 戦前の新聞記事もそうだが、句読点の用い方が、現在と異なっている。

 現代の学校で、このようなスタイルで文章を書いたら、少なくとも句読点については、先生から直されてしまうだろう。しかし、これが、昭和4年の教科書の文章だったのである。

 まぁ、「適量・少量・適度」に用ひれば効があるが、「過量・多量・過度・妄」に用ひれば胃に悪い、というのが嗜好品の共通点、ということは理解出来るだろう。

 脳にも悪影響のある嗜好品もあるわけだが、心当たりのある方は注意されたい。

 
 
 

 ホントは、第11章の「竃・燃料」の項目を取り上げて、80年前の主婦の調理の苦労について考えるはずだったのだが…

 しかし、「平野水」とはどんな飲み物なのだろうか?

 
 

 
 

(オリジナルは、投稿日時:2009/02/09 20:05→ http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/94591

 

 

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