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2008年12月 3日 (水)

ハイル・テンノーヘイカ!!…??

 

 ドナルド・ダックが、「ハイル・テンノーヘイカ!!」と叫んでいるシーンを見つけてしまった。

 Der Fuehrer's Face というタイトルのアニメに件のシーンがある。(http://jp.youtube.com/watch?v=cdpSU-UWkso&feature=related

Image:Derfuehrersfaceposter.JPG 

 ↑公開時のポスター

 1942制作、1943年公開のディズニーアニメだ。1943年度のアカデミー賞受賞作品でもあるらしい。

 タイトルは、アニメの中で歌われている当時のヒットメロディーから取られている。オリジナルは、スパイク・ジョーンズとシティ・スリッカーズによるものらしい。

 ナチス好みのメロディーラインに、ナチへの皮肉を込めた歌詞が付けられている(通称、ナチ・ソング)。

 スパイク・ジョーンズは、いわゆる「冗談音楽」の元祖として有名な通りで、これも音楽自体がナチへのパロディーになっている。

 そんな、音楽に、ナチ世界の住人となってしまったドナルド・ダックのエピソードがアニメーションとして展開される。

 ナチの格好をした5人組のブラスバンド(軍楽隊)が演奏をしながら行進をしているところから始まる。

 バンドのメンバーには、ゲーリングに加えて、メガネでヒゲに出っ歯の日本人らしき男(どうも、これが昭和天皇らしい)、ムッソリーニも参加している。

 "WHEN THE FUEHRER SAYS, WE ARE THE MASTER RACE!..."

というような歌詞(ナチの信条)に、行進曲風のメロディー。あらゆるものがハーケンクロイツ型にデザインされた町(街路樹までもハーケンクロイツの形に剪定されている)を行進していく。

 やがて、ドナルド・ダックの住む小屋に到着する。

 ハーケンクロイツデザインの目覚まし時計に、ヒトラー顔をしたハト時計。起こされたドナルド・ダックは、壁にかけられた3枚の肖像画に挨拶をする。

 真ん中の上にあるのがヒトラーの肖像。「ハイル・ヒトラー!」とナチ式の敬礼。次いで左下方にある日本人風の肖像画に向かって「ハイル・テンノーヘイカ!」。最後に右下のムッソリーニに向かって「ハイル・ムッソリーニ!」と叫ぶのだ。

 正直なところ、このシーンまでは、日本人風の人物が昭和天皇であるとは気付いていなかった。ステロタイプな日本人イメージ(出っ歯にヒゲにメガネ)、せいぜいのところ東條英機くらいいに解釈していたので、いささか驚かされたものだ。

 しかし、考えてみれば、ヒトラーもムッソリーニも国家のトップであるわけだから、大日本帝國のトップが昭和天皇としてイメージされているのも当然のことなのではあった。

 アニメ自体は、味気ない朝食風景(ベーコンエッグの香りの香水にのこぎりでなくては切れない固いパン)、そして軍需工場で働くドナルドダックのエピソードへと続いていく。事あるごとに、ハイル・ヒトラー!をさせられながら、弾丸の組み立てに従事するドナルド・ダックの姿。

 休み時間にはバケーションタイムと称して、風光明媚な景色の垂れ幕の前でナチ式体操が待っている。

 あまりに過酷な労働に、精神の平衡を失ってしまうドナルド・ダック。

 しかし、悪夢から醒めてみれば…

 最後にはアメリカ礼賛で、アニメは閉じられる。

 同じ動画サイトで発見したワーナーブラザースのアニメも紹介しておこう。

Tokio Jokio http://jp.youtube.com/watch?v=3_km9IFzzHo&feature=related)は1943年作品。。

 日本映画社で製作されていた「日本ニュース」のパロディーとなっている。つまり、大日本帝國のプロパガンダ映像のパロディーなのである。

 こちらには、昭和天皇ではなく、東條英機をモデルとしたらしいプロフェッサー・ト―ジョーが登場する。

 ディズニーの昭和天皇にせよ、ワーナーの東條英機にせよ、顔が似ているとは思えない。どちらもステロタイプな日本人イメージを出ない感じだ。

 ドナルドダックに出てくる、ヒトラー、ムソリーニ、そしてゲーリングも似顔となっているのに比べて、扱いの低さ、あるいは関心の低さを感じる。人種差別意識とまで言えるのかどうかは微妙に思うが、解釈次第というところか?

 動画サイトのアニメ画像には他にも、まだまだ戦中の作品がある。戦争とアニメ、戦争プロパガンダとしてのアニメというのは、興味深いテーマであるように思う。

 ここでは、ドイツの日本の事例をご紹介しておこう。

 ナチスの戦中アニメ(http://jp.youtube.com/watchv=WIlr_rZKR4c&feature=related)「Cartoons from III Reich」紹介画像と、大日本帝國のアニメ(昭和19年制作、昭和20年4月公開)、

 「桃太郎 海の神兵」の冒頭(http://jp.youtube.com/watch?v=jDLHJDaq9bg

とラスト(http://jp.youtube.com/watch?v=dyjPzoEOvdM&feature=related)。

 そして、ワーナー作品とディズニー作品からの借用映像に、スパイク・ジョーンズのオリジナル音楽を付けたもの(つまり、画像サイト用オリジナル?)。

http://jp.youtube.com/watch?v=6J-1p_xX2TU&feature=related)こちらのタイトルは「A film about Hitler's face」となっている。

 あやうく、当時の作品として紹介してしまうところだったが、当時のアニメ画像を編集し、当時の音楽(スパイク・ジョーンズのオリジナル)を付けたものであることにご注意を願いたい。しかし、よく出来ているので、ご参考までに。

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時:2007/12/09 21:14 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/blog_id/50979/user_id/316274

 

 

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