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2008年12月 3日 (水)

国家総動員体制と都市無差別爆撃の論理

 

国家総動員法(昭和13年法律第55号)

第一条 本法ニ於テ国家総動員トハ戦時(戦争ニ準ズベキ事変ノ場合ヲ含ム以下之ニ同ジ)ニ際シ国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及物的資源ヲ統制運用スルヲ謂フ

第二条 本法ニ於テ総動員物資トハ左ニ掲グルモノヲ謂フ
 一 兵器、艦艇、弾薬其ノ他ノ軍用物資
 二 国家総動員上必要ナル被服、食糧、飲料及飼料
 三 国家総動員上必要ナル医薬品、医療機械器具其ノ他ノ衛生用物資及家畜衛生用物資
 四 国家総動員上必要ナル船舶、航空機、車両、馬其ノ他ノ輸送用物資
 五 国家総動員上必要ナル通信用物資
 六 国家総動員上必要ナル土木建築用物資及照明用物資
 七 国家総動員上必要ナル燃料及電力
 八 前各号ニ掲グルモノノ生産、修理、配給又ハ保存ニ要スル原料、材料、機械器具、装置其ノ他ノ物資
 九 前各号ニ掲グルモノヲ除クノ外勅令ヲ以テ指定スル国家総動員上必要ナル物資

第三条 本法ニ於テ総動員業務トハ左ニ掲グルモノヲ謂フ
 一 総動員物資ノ生産、修理、配給、輸出、輸入又ハ保管ニ関スル業務
 二 国家総動員上必要ナル運輸又ハ通信ニ関スル業務
 三 国家総動員上必要ナル金融ニ関スル業務
 四 国家総動員上必要ナル衛生、家畜衛生又ハ救護ニ関スル業務
 五 国家総動員上必要ナル教育訓練ニ関スル業務
 六 国家総動員上必要ナル試験研究ニ関スル業務
 七 国家総動員上必要ナル情報又ハ啓発宣伝ニ関スル業務
 八 国家総動員上必要ナル警備ニ関スル業務
 九 前各号ニ掲グルモノヲ除クノ外勅令ヲ以テ指定スル国家総動員上必要ナル業務

第四条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帝国臣民ヲ徴用シテ総動員業務ニ従事セシムルコトヲ得但シ兵役法ノ適用ヲ妨ゲズ

第五条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ帝国臣民及帝国法人其ノ他ノ団体ヲシテ国、地方公共団体又ハ政府ノ指定スル者ノ行フ総動員業務ニ付協力セシムルコトヲ得

第六条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ従業者ノ使用、雇入若ハ解雇、就職、従業若ハ退職又ハ賃金、給料其ノ他ノ従業条件ニ付必要ナル命令ヲ為スコトヲ得

第七条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ労働争議ノ予防若ハ解決ニ関シ必要ナル命令ヲ為シ又ハ作業所ノ閉鎖、作業若ハ労務ノ中止其ノ他ノ労働争議ニ関スル行為ノ制限若ハ禁止ヲ為スコトヲ得

第八条 政府ハ戦時ニ際シ国家総動員上必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ物資ノ生産、修理、配給、譲渡其ノ他ノ処分、使用、消費、所持及移動ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得


……以下、第五十条まで「国家総動員法」の条文は続く。

 昭和13年4月1日に公布、5月5日より施行の「国家総動員法」により、大日本帝國は、勅令のみで、つまり議会の同意を必要とすることなく、その国民を総力戦体制に組み込むことが可能となったわけである。

 行き着く先に、昭和20年6月21日に公布され、同23日より施行の、


戦時緊急措置法(昭和20年法律第38号)

第一条 大東亜戦争ニ際シ国家ノ危急ヲ克服スル為緊急ノ必要アルトキハ政府ハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ左ノ各号ニ掲グル事項ニ関シ応機ノ措置ヲ講ズル為必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
 一 軍需生産ノ維持及増強
 二 食糧其ノ他生活必需物資ノ確保
 三 運輸通信ノ維持及増強
 四 防衛ノ強化及秩序ノ維持
 五 税制ノ適正化
 六 戦災ノ善後措置
 七 其ノ他戦力ノ集中発揮ニ必要ナル事項ニシテ勅令ヲ以テ指定スルモノ

…の条文がある。


 この間に、昭和19年8月4日、小磯内閣は、

軍官民を問はず一億国民が真に一丸となつて戦闘配置につき、本格的戦争態勢を確立することにこそ現下の急務

…との認識の下に、「一億国民総武装」を閣議決定している。


 国家による総力戦としての近代戦争に直面した大日本帝國自身の対応(閣議決定)として、「一億国民総武装」というフレーズが登場しているのである。
 「一億国民が真に一丸となって戦闘配置に」つくということはつまり、一億国民すべてが戦闘員となることを意味する。
 そこには既に、前線と銃後の境界が消滅している。
 無差別都市爆撃の論理も、同じ認識を出発点としているように見えるのである。

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時:2007/08/28 20:59 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/blog_id/39281/user_id/316274

 

 

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