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2008年11月25日 (火)

特別な日 12月8日 (現代史のトラウマ13)

 

 昨日は12月8日。
 65年前、昭和16年(1941年)、

大本営陸海軍部発表。本日未明、帝國陸海軍は、西太平洋において、米英軍と戦闘状態に入れり……

 というラジオニュースを多くの国民が喜びをもって聞いていた日でした。

 開戦記念日、ですね。以後、敗戦まで、毎月8日は「大詔奉戴日」として、国民に祝われるべき日となっていきました。

 大東亜戦争中、特別な意味を持つ日付の一つであり続けたわけです。
 ちなみに、「大詔奉戴日」とは、天皇の名により、国民に対し、米国及び英国に対する宣戦を告げる文書(詔書)の発せられた日、を意味します。
 付け加えておけば、この「宣戦の大詔」は、国民に対する天皇の公文書ではあっても、米国及び英国に対する宣戦布告の文書ではありません。

 大東亜戦争中のこの特別な日は、4年後の昭和20年(1945年)8月15日正午、天皇自ら読み上げた「戦争終結の大詔」のラジオ放送により、特別な日の座を終えることになります。
 以後、戦後の日々、大東亜戦争での敗戦により消滅した大日本帝国に替わる日本国において、8月15日が、特別な日としての座を受け継いできました。

 大日本帝国においては、12月8日が、大東亜戦争開戦の日として、特別な日であり、戦後の日本国にあっては、8月15日が、新生日本のスタートの日として、特別な日として取り扱われて来たということでしょう。
 もちろん、日本国憲法発布の日、講和条約発効の日こそが新生日本のスタートの日としてはふさわしいのではないか、という理屈が成り立つことは承知しておりますが、実際の国民の記憶という点から考えても、国家的行事のあり方から見ても、8月15日には及ぶものでないことは確かなことでしょう。

 大日本帝国が、大東亜戦争を開始した日が、12月8日であり、大東亜戦争における敗戦を受け入れた日が、8月15日である、ということになります。


 中国においては、7月7日が特別な日です。盧溝橋事件の日、いわゆる支那事変が始まる日です。昭和12年(1937年)7月7日、盧溝橋付近における、日支両軍間の銃撃戦をきっかけとした、大日本帝国陸軍による終わりなき軍事力行使の始まった日ということです。もちろん、「終わりなき」というのは文章表現上の修飾であり、そこで軍事力行使を停止できなかったことが、昭和16年12月8日の対米英開戦に帰結し、最後に昭和20年8月15日の「玉音放送」による、天皇自らの、敗戦の受け入れ宣言をもって、大日本帝国の軍事力行使には「終わり」が訪れたわけです。
 中国では、中国「固有の領土内」での大日本帝国陸軍(支那派遣軍)による自国軍隊への攻撃の開始の日、国土の他国軍による蹂躙開始の日として、7月7日は特別な日として記憶されています。

 また、8月15日は、国土を蹂躙し、多くの国民の生命財産を奪い続けた大日本帝国の敗戦の日であると共に、何よりも、自国を蹂躙し続けた敵国への勝利の日として、中国人には理解されています。
 朝鮮半島の人々にとっても、事態は同様、あるいはそれ以上かもしれません。大日本帝国の植民地であった祖国が、失われていた独立を回復する日を意味するからです。


 大東亜戦争をめぐるいくつかの日付を取り上げて、その意味するところを考えてきました。特別に記憶されてきた日、「特別な日」という視点を採用してみたわけです。
 戦争とは、政治的対立の軍事的手段による解決の試みを意味します。そこには「対立」があり、お互いがお互いの「敵」となる構造があります。その「対立」の一方からの観点のみではなく、もう一方の視点にも想像力を働かせることにより、問題の所在を自己欺瞞に陥ることなく見出す途が開かれます。歴史から教訓を学ぶことが出来るとすれば、そのための途として、有効な想像力の働かせ方であると考えるわけです。

 12月8日がどのように特別な日であるのか、考えるための第一歩として、本日の日記がお役に立てることを願います。

 

 

 

(オリジナルは、投稿日時:2006/12/09 23:09 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/blog_id/13969/user_id/316274

 

 

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